<ゼロから始める>同一労働同一賃金を理解するブログ

2020年4月1日にスタートする同一労働同一賃金を理解するブログです。社会保険労務士ですが、法律用語を出来るだけ使わずに、分かりやすい説明を心掛けます。

雇用調整助成金 顧客管理シート

 4月9日から雇用調整助成金の簡素化が行われました。

コロナウイルスの影響で活用されている社労士様も多くいらっしゃると思います。

顧客管理シートを作成しましたので、活用してください!

 

事務所内の担当者名や顧客名でフィルターをかけることもできます。

 

<a href="https://campingsharoushi.up.seesaa.net/image/E99B87E794A8E8AABFE695B4E58AA9E68890E98791E38080E9A1A7E5AEA2E7AEA1E79086E382B7E383BCE38388.xlsx">雇用調整助成金 顧客管理シート.xlsx</a>

 

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労使協定方式※賞与の設定<必要な6つのステップ>

2020年4月から同一労働同一賃金が派遣業を皮切りに施行され、ルールの徹底が求められるようになります。

今回は「賞与」について解説させて頂きます。

同一労働同一賃金では賞与(ボーナス)も対象となり、もちろん行政が出す水準以上にしなければいけなくなります。

 

そもそもの同一労働同一賃金の概要↴ 

douitsuroudoudouitsuchingin.hatenablog.com

 <必要な6つのステップ>

派遣さんに賞与が(ほぼ)必須になってくるのです。本当にすごい時代だなあと思います。しかし、一方でこの賞与の設定の仕方によって、派遣会社の評価制度が「正当な評価に基づく、納得感のある賃金制度」になるのか、「ただ法律に踊らされているだけの賃金制度」になるのか、全くちがった道を歩むことになると思います。つまり、賞与が同一労働同一賃金の分かれ道だと思います。

①賞与は何円支払えばよいのか<≒賞与を支払わない基準について>

まずは、行政が求めている賞与の水準について解説させて頂きます。

同一労働同一賃金の労使協定方式では、行政機関が発表した時給ベースの統計値を上回ることが必要でしたね。あの統計値は「賞与を含む」時給の平均値です。つまり、時給単体であの統計値を上回る必要はなく、あくまでも賞与込みで上回っていればOKです。

 

仮に、ある職業の統計値が1,000円/時間だったと仮定します。

その時下記のような制度設計が可能です。

 

時給950円 + 賞与 50円=1,000円

 

従業員1人であればこれでOKです。では3人の場合はどうでしょうか?これ、けっこう質問が多いです。

 

賞与が全従業員に均一に支払われる会社はほとんどありません。むしろ、本人の能力、地位、勤務成績、営業成績等を反映させるケースがほとんどです。

では、もしも勤務成績が悪く、派遣先の評判も悪い派遣さんがいた場合はどうでしょうか?その人にも賞与の支払が必要になるのでしょうか?

仮に求められる行政の統計値が1100円の場合で考えてみましょう。

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このように、賞与の部分だけ平均をとって行政の統計値を上回っていればOKです。

 

B君とC君は時給+賞与が行政の統計値(1100円)を下回っています。しかし、この場合は賞与の部分だけを取り出して平均を計算し、もう一度再分配して上回っていればOKということになります。

 

②賞与の支払方法<2つの方式>

賞与は必ずしも毎月支払われるものではない会社が一般的です。

派遣元の会社としては下記の2パターンから選択することが多いと思います。仮に求められる行政の統計値が1000円の場合で考えてみましょう。

 

では詳しく見ていきましょう

では、どのような賞与の支払い方が考えられるでしょうか。

 

パターンA 季節賞与(7月、12月など時期を決めて支払う)

 

最も一般的な賞与です。もらう側にとっても「賞与っぽい」のではないでしょうか。

仮に求められる行政の統計値が1000円の場合で考えてみましょう。

 

時給950円 + (半年の季節賞与<48,000とする>÷6か月÷4週間÷5日÷8時間=50円) = 1,000円

 

このような計算になります。各月の出勤日数に応じて割り戻してから、行政の統計値と比較することになります。計画段階では出勤日数は概算でOKですが、実際には派遣さん全員の半年間の出勤日数を正確に予測するのは困難です。派遣先で必要としている人数が月ごとで変動する場合は更に大変です。また、欠勤が多い派遣さんに関しては、さらに難しいです。

以下メリット、デメリットを解説させて頂きます。

季節賞与のメリット  

<評価が定まった後で支払うことができる>

多くの会社で賞与は「会社の業績」「本人の評価」「本人の役職、地位」

の3点から定まると思います。例えば「会社の利益がこれくれいだから、賞与としてこれくらい還元しよう」という計算が先にあり、「係長クラス」で「5段階評価のうち、4段階」なので、この人には何円渡そうという配分が成り立ちます。

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その他にも「基本給の●か月分」という基準から「この人は3か月分」「この人は1.2か月分」という配分も可能です。

 

後述しますが、もう一つ方式(分割賞与)では少し複雑になります。

 

<割増賃金の計算基礎にならない>

これは分割賞与の方でもう一度説明しますが、分割賞与という形で支払うと割増賃金の計算基礎になります。割増賃金とは「時間外労働」「深夜労働」「休日労働」の割増賃金のことです。

 

割増賃金の計算の際に「基本給だけを所定労働時間で割る」という考えの人は、21世紀になって絶滅していると思いますが、一応ご説明します。

 

割増賃金の計算は

(対象者の固定的賃金ー労基法で限定列挙した除外できる手当)÷所定労働時間×割増率×時間

 です。

 

その労基法で限定列挙した除外できる手当が下記になります。

 

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分割賞与という形で支払うと、それは図の①~⑦には含まれておりませんので、当然割増賃金の計算基礎になるということになります。

季節賞与デメリット

<賞与支払届が必要>

 

これは当たり前といえば当たり前なのですが、社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金被保険)の賞与支払届が必要になってきます。

 

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 もちろん、社会保険に加入していない人は対象外です。派遣さんの場合は出勤日数が少なく社会保険に入っていない方も多いと思います。社保加入者とそうでない方が混在している場合はどのように届出をすれば良いでしょうか。

 

それは、社会保険に入っている人だけ記入すればOKです。賞与支払届は社会保険加入者に対し、年金や健康保険の納付実績として記録をつけることと、応能負担の法則から適切な社会保険料を納めることです。社会保険に入っていない人は、もし賞与が出ていても届出は不要です。

 

<まとまった支出が必要になる>

これも当たり前といえば当たり前ですが、賞与の支払時期にまとまった支出が必要です。派遣さんの賞与は派遣料金から捻出したいところです。

 

しかし、派遣先は賞与の時期にまとめて派遣料金を出してくれるでしょうか?派遣元で賞与の支払に100万円必要になったとしても、例えばマージン込みで150万円を出してくれるでしょうか?

 

日本の季節賞与はだいたい、6月か7月の夏季賞与そして12月の冬季賞与として支払われます。(もともとは武士の時代に盆暮れに支給されていた「お仕着せ」が由来です)

 

 そうすると、同じ時期に派遣先は大変な派遣料金を支払うことになります。それも、派遣元の人事部が「今年は業績も良いから普段より多めに出そう」なんてことを言い始めるかもしれません。そんな話を派遣先が聴いてくれるでしょうか?

 

そうです。派遣先の気持ちになって考えてみると、派遣料金は季節的にではなく月々の派遣料金に上乗せして払いたいはずです。そうなると、派遣元が季節賞与として7月、12月などにまとめて支給する場合は、賞与引当金としてお金を貯めておく必要があります。

 

 

パターンB 分割賞与(毎月の給与に上乗せで賞与を少しずつ支払う)

賞与を分割賞与という形で毎月支払うパターンです。

仮に求められる行政の統計値が1000円の場合で考えてみましょう。

 

 時給950円 + 分割賞与 50円=1,000円

 

簡単ですね。この方法は月ごとの人件費の見通しは立てやすいと思います。ただし、年間で賞与の支払がどれほど必要になるのかは、単純に12をかけてしまうと、月ごとの出勤頻度、業務の繁閑が考慮されず、計算が難しいところです。100%計画通りにというのは難しいでしょう。

分割賞与メリット

<人件費の見通しがたちやすい>

これは季節賞で説明しましたが、派遣先の気持ちになって考えてみると、派遣料金は季節的にではなく月々の派遣料金に上乗せして払いたいはずです。

 

そうなると、派遣料金に合わせて分割賞与という形で支払う方が、月々のお金の収支が簡単です。

 

<賞与支払届が必要ない>

こちらも季節賞与のところで説明しましたが、分割賞与であれば賞与支払届は必要ありません。

 

ここで「社会保険逃れにならないの?」と驚く人がいるかもしれませんが、大丈夫です。毎月の給与に上乗せで支払うので、「算定基礎届」月額変更届やの計算対象になり、そちらで計算されるだけです。

 

もちろん、最初に「被保険者資格取得届」を出す場合も概算でよいので、分割賞与を加味する必要があります。もしも年金事務所の調査が入ったら、月々の給与の金額と標準報酬月額に大きく乖離がある場合、遡って手続きをやり直させられる場合がありますので注意してください。

分割賞与デメリット

<評価が定まる前に支払う>

こちらも季節賞与のところで説明しましたが、多くの会社で賞与は「会社の業績」「本人の評価」「本人の役職、地位」の3点から定まると思います。例えば「会社の利益がこれくれいだから、賞与としてこれくらい還元しよう」という計算が先にあり、「係長クラス」で「5段階評価のうち、4段階」なので、この人には何円渡そうという配分が成り立ちます。

 

しかし、分割賞与で支払う場合はこれらが定まる前に支払う必要があります。もちろん、入社から最初の査定までの期間は「まだ働いていない期間なので最低評価でよい」と厚生労働省のQ&Aで書かれていますが、最低評価の場合でも「平均して再分配してチェック」はしなければなりません。あの表です。

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もちろん、最初は分割賞与が0円でもいいわけですが、平均して再分配してチェックしたときに全員が行政の統計値を上回っているようにしましょう。

 

<割増賃金の計算の基礎となる>

これは季節賞与の方で一度説明しましたが、分割賞与という形で支払うと割増賃金の計算基礎になります。割増賃金とは「時間外労働」「深夜労働」「休日労働」の割増賃金のことです。

 

割増賃金の計算は

(対象者の固定的賃金ー労基法で限定列挙した除外できる手当)÷所定労働時間×割増率×時間

 です。

 

その労基法で限定列挙した除外できる手当が下記になります。

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分割賞与という形で支払うと、それは図の①~⑦には含まれておりませんので、当然割増賃金の計算基礎になるということになります。

 

派遣さんの時間外労働、深夜労働が多い場合は注意が必要です。

③評価方法の決定、評価基準の決定

④賞与の支払額の目安の検討

⑤明細上の記載の仕方

賞与と会社理念

 

↑別のブログで書きます。少々お待ちください。

 

勤務社労士2年目だった私がお客さんに 「この分からず屋が!!!」と言われたときに救われた話

普段は社会保険労務士として同一労働同一賃金のブログを書いていますが、ちょっと息抜きをさせてください。今回は読書感想文です。 

  

 


私は営業やコンサルとして人と一対一で話す仕事をしています。皆さんも同じだと思いますが、実に人間のこだわり、ポリシーは様々であることに気付かされます。

 

 


ときどき「ええっ?!」と思うほど価値観のズレた人間に会うこともあれば、不思議なほど波長の合う人間もいます。f:id:tawatawa800m:20200128223138j:image

言葉遣いにこだわる人、分かりやすさにこだわる人、どこか友達のようにフランクに接することを望んでいる人、ノミニケーションを大切にする人、本音で話し合うことを大切にする人………実に様々です。

 

 

 

相手のことを理解することって、本当に難しいです。究極的には「無理」だと思っています。

 

 

 


法律事務所はトラブルがつきものです。人間は何かトラブルが発生したりすると、とにかく相手の本心を探ろうと躍起になってしまいます。

この人は何を望んでいるんだろう?何をして欲しかったんだろう……と。

 

 


そして普段から相手の性格を読み取ったり、腹を探るようになってしまい、挙げ句「どうすれば他の人と分かり合えるんだろう?」と迷宮入りします。そしてこれには凄まじいパワーを使います。

 

 

 

子どもの難問」というタイトルですが、内容は大人向けです。

 

子どもの難問

子どもの難問

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/11/08
  • メディア: 単行本
 

 

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目次を読むと、

 

「ぼくはいつ大人になるの?」

「死んだらどうなるの?」

「なぜ生きているんだろう?」

「悪いことってなに?」

「芸術ってなんのためにあるの?」

「心ってどこにあるの?」

「えらい人とえらくない人がいるの?」……

 

誰もが一度は考えたことがある疑問ではないでしょうか。この本は、私達が子どもの頃から抱いてきた、そして永遠に未解決の難問に、いま日本で活躍する哲学者が回答しています。

 

一人一回答というのが面白さのミソだと思います。問いに対し、答えている人の価値観が全て違うので、次の質問でどのような答えが書かれているのか予測できないのです

 

 


この本の中で「どうすれば他の人と分かり合えるんだろう?」という問いがありました。

私は、そもそも分かり合う(理解する)ということが大切ではないという衝撃の回答、そして他の人を「尊重」することの大切さに気付かされました。

 

 


(抜粋)

この問題は、みんな重大問題だと思っているけれど、本当はそうじゃない。くだらない問いなんだ。この問題に悩んでいる人は、第一に分かり合うことは難しいと思っている。第二に分かり合うことは良いことだと思っている。でも、この二つは両方とも間違っている。

・・・

むしろ、心の中に誰にも知られていない思いを持っておく方が大切だ。それこそが君の個性だから。誰にも見えない心の奥で君は自分を育てている。そしてその秘密の一部をごく僅かな人に伝えることで、君は濃淡のある人間関係を作れる。これが、プライバシーが大切にされてきた理由なんだ。皆テレパシーで心の中がお見通しになってしまったら生きやすいだろうか?

……

 

 


もしかしたら、人付き合いの上手い人って、無理に相手を理解しようとせず、まず尊重するからこそ上手くいっているのかもしれませんね。


良かったらぜひ読んでみてください!

 

派遣先均等均衡方式の情報提供の内容<①~④>

こんにちは。
2020年4月から「同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん)]」が日本の中でも派遣会社、派遣先の会社から先にスタートされ、ルールの徹底が求められるようになります。
⇒同一労働同一賃金とは

今回は労使協定方式ではない方、もう一つの「派遣先均等均衡方式(はけんさききんとうきんこうほうしき)」のうち、情報提供の内容について解説させていただきます。



<概要>
同一労働同一賃金のために、派遣さんの給与を適正化する

派遣さんの給与を派遣先の正社員に近づける

③派遣先が自社の正社員の賃金規程など、情報の一部を、派遣元会社へ伝える義務がある

④情報提供について





ここのページでは、「業務内容」について解説させて頂きます。




(1)業務の内容 について

① 職種: 衣服・身の回り品販売店
※業務の内容が同一であるかどうかの判断は、厚生労働省が作成した細分類を目安と して行うこととしていることによる。  
⇒厚生労働省の細分類について

② 中核的業務: 品出し、レジ、接客  

③ その他の業務: クレーム対応   
※中核的業務以外の比較対象労働者が従事する業務を記載。



(2)責任の程度について  
① 権限の範囲 : 副リーダー(●等級中●等級)、(仕入れにおける契約権限なし、部下2名)  

② トラブル・緊急対応 : リーダー不在である間の週1回程度対応  

③ 成果への期待・役割 : 個 人 単 位 で 月 の 売 上 げ 目 標 3 0 万 円  

④ 所定外労働   : 週2回、計5時間程度(品出しのため)

⑤ その他    :                              
※「その他」については、責任の程度を指すものがあれば記載。


(3)職務の内容及び配置の変更の範囲について  
① 職務の内容の変更の範囲: 他の服飾品の販売に従事する可能性あり、リーダー又は店長まで昇進する可能性あり  

② 配置の変更の範囲: 2~3年に1回程度、転居を伴わない範囲で人事異動あり



(4)雇用形態について  
例1:正社員(年間所定労働時間●時間)  
例2:有期雇用労働者(年間所定労働時間●時間、通算雇用期間●年)



まだまだ続きます。
<厚生労働省からのガイドブックについて>
<比較対象者を選定した理由(派遣先均等均衡方式)>
<待遇の内容(派遣先均等均衡方式)>

派遣先均等均衡方式とは何か?<必要な3つの流れ>

2020年4月から「同一労働同一賃金」が派遣業から先に施行され、ルールの徹底が求められるようになります。

 

今回は労使協定方式ではない方、もう一つの「派遣先均等均衡方式(はけんさききんとうきんこうほうしき)」について解説させて頂きます。

何だこのモヤモヤする名前は!!!!

 

 

 <概要>

同一労働同一賃金のために、派遣さんの給与を適正化する

派遣さんの給与を派遣先の正社員に近づける

③派遣先が自社の正社員の賃金規程など、情報の一部を、派遣元会社へ伝えることが、義務化される

 

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 <派遣先は誰の情報提供をすればいいか>

まず、上記の「派遣さんが働く現場で同じ仕事をしている正社員の業務内容、待遇情報」について考えます。

 

 

例えば、倉庫内でフォークリフトを使って商品を動かす仕事をしている派遣社員がいる場合は、自社(派遣先)の社員で同じ仕事を派遣さん(派遣元)と一緒にしている人達を指します。

 

 

この同じ仕事をしている人の「決め方」についても、方式が決められています。

 
 優先度

 パターンA

a 業務内容)&b(責任の程度)

 パターンB

a 転勤)& b(昇進)& c(役割の変化)& その他の事情

 1 同一 同一
 2 同一 同一でない
 3

a 業務内容)とb(責任の程度)いずれかが同一

同一でない
 4 同一でない 同一
 5 1から4のいずれかに該当する有期雇用労働者 同左
 6 就業規則等に基づく仮想の労働者の待遇 同左

 

実際、派遣さんと正社員で業務内容、責任の程度、転勤の可能性まで含めて同じということは少ないと思われます。 

 

 

 

そこで、優先度1の人がいない場合は2、優先度2の人がいない場合は3と順位を下げていき、最終的には優先度6(仮想の従業員)で考えることになります。

 

 

 

優先度6の場合でも適当ではなく「就業規則(しゅうぎょうきそく※労働基準監督署に提出する、会社の公式ルールブック)で定められた基準にのっとる」ことが求められていますので、注意が必要です。

 

詳しく解説すると下記のようになります。

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 判断に迷ったら、すべての都道府県に設置されている労働局  需給調整課に電話で確認できます!

 

 

<情報提供の内容について(派遣先均等均衡方式)>

 

<どのように賃金規定を作ればいいか(派遣先均等均衡方式)> 

労使協定方式とは何か?給与の設定<必要な3つのステップ>

2020年4月から「同一労働同一賃金」が派遣業を皮切りに施行され、ルールの徹底が求められるようになります。

 

 

 

では、労使協定方式とは何でしょうか?

 ⇒厚生労働省が発表した雛型について(上級者向け)

※令和2年1月 14 日公表版

※リンク先の内容がよく分からない方は下記をお読みください。

 

 

 

<概要> 

同一労働同一賃金のために、派遣さんの給与を適正化する

派遣さんの給与を、国が調査した正社員給与の統計値にに近づける

③派遣会社は「どのような賃金ルールにするか」について、書面を派遣従業員の代表者と交わすことが義務化された。

 

 

 

誤解を恐れずに言うと、前年度の職種別の賃金統計(全国統計、正社員ベース)に、派遣社員の給与を近づける方式です。(後述します)

 

 

 

つまり、派遣さんの給与について、

全国の正社員の統計結果がこうなんだから、派遣さんの給与設定は(賞与込みで)この統計値を上回るように設定してね。

というものです。

 

 

具体的に解説させて頂きます。

 

政府の統計を上回る給与設定をする。

https://www.mhlw.go.jp/content/000526707.pdf

(PDFが開きます。平成30年度にハローワークで受理した無期雇用かつフルタイムの求人に係る求人賃金(月給)から作成)

 

 

 

そのほかにも、賃金構造基本統計調査など派遣元の会社はいくつかの統計データを選び、そこから派遣さんの給与を設定することが出来るようになっていますが、選択肢の多さから言うと「ハローワークの統計調査をもとに選ぶことになります。

 

 

 

 ②地域指数をかける(今回はハローワークの統計調査をもとに解説させて頂きます)

https://www.mhlw.go.jp/content/000526708.pdf

日本では地域によって給与の相場が異なります。

そこで、地域指数と呼ばれる係数をかけます。

 

 

たとえば北海道で働く「102 システム設計技術者」の場合、

1,534 円(別添2の 1 年目の額)×92.0%(北海道の地域指数)=1,412 円

ということになります。

 

 

賃金表を作る

今度はプログラマーの場合です。

          (A)               (B)

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厚生労働省HPから抜粋)
A、Bと左から区分しましたが、作成する順序は

 

B⇒Aです。

(Aに賞与が含まれていますが、賞与については後述)

 

③-B

まず、Bを作ります。

ハローワークの統計調査(0年目、1年目、 2年目、 3年目、 5年目 、10年目 、20年目 )に地域指数を乗じます。上記の図では簡易的に0、3、10年目が挙げられています。

 

③-A

次にAを作ります。

業務内容に応じて、0年目で求める仕事は何か、3年目で求められる仕事は何か、10年目で求められる仕事は何かを洗い出し、実際の時給に当てはめていきます。

⇒業務内容の洗い出しについて

 

この時、必ず

「A≧B」が成り立つ必要があります。ここが同一労働同一賃金の肝です。

つまり、派遣さんの時給を統計平均よりも高く設定する必要があるということになります。

 

<どのように賃金規定を作ればいいか(労使協定方式)>

<賞与について(労使協定方式)>

<退職金について(労使協定方式)>

<通勤手当について(労使協定方式)>

<通勤手当以外の手当について(労使協定方式)>

 

<Q1>

では、この時給のラインは必ず上回る必要があるのでしょうか?

 

<A1>

いいえ、これはあくまでもAで作った業務レベルに到達していたら、その時給が貰えるということになります。会社が「3年目でこのレベルの仕事をしてほしい」という要望に対し、そのレベルに達していなければ、仮に3年目経っていても3年目の時給を支給する必要はありません。

 

<Q2>

業務レベルは会社が自由に設定できるの?

 

<A2>

最終的には36協定や就業規則の意見書と同じように、過半数労働者代表OR過半数労働者で組織された労働組合の代表の同意が必要です。(個別同意は不要です)

ただし、業務レベルの設定は、派遣料金と密接に関わってきます。派遣先と業務内容の再確認を行い、設定していく必要があります。

⇒業務内容の洗い出しについて

 

<Q3>

現在、下回っている社員がいると法律違反になるのでしょうか?

 

<A3>

いいえ、2020年1月現在は法律違反ではありません。

ただし、4月以降は同一労働同一賃金の内容にもとづいて評価し、給与の支給をしていく必要があります。

 

 

<Q4>

そういえば、最低賃金法の最低賃金とは何が違うのでしょうか?

 

<A4>

最低賃金法は別の法律になりますので、最低賃金もそれはそれで守らなければなりません。また、ハローワークの統計調査は「分割賞与」が含まれていることに留意してください。 あくまでも賞与込みで統計を上回る必要があります。

 

 

疑問は尽きません。

 

 

では、次以降のページで詳しく解説させて頂きます。

厚生労働省が作成した労使協定方式の雛型について

同一労働同一賃金とは?<派遣業は2020年4月から>

2020年4月から「同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん)」が日本の中でも派遣会社&派遣先の会社から先にスタートされ、ルールの徹底が求められるようになります!!

 

 

 (上級者向け)

⇒厚生労働省が発表した雛型を先に読みたい人

※令和2年1月 14 日公表版

よく分からない人は下記をお読みください。

 

 

こんな噂を聞いて驚いた社長様、部長様、労務担当者様、人材会社の営業担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

まさに、寝耳に水のような働き方改革です。

 

一方で、

聞いたことがあるけれど、なにが変わるのかイマイチわからない

具体的になにをすればいいの?

という、ご担当者の方もいらっしゃいます。

このブログは様々な観点から「同一労働同一賃金」について解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

 

 

 

まず、派遣業の同一労働同一賃金とは何でしょうか?

 

😢「派遣では派遣先の正社員と同じような仕事をしているにも関わらず、待遇は派遣であるというだけで、とても低い!」

 

😢「派遣であるというだけで、休憩室が使わせてもらえない」

 

😢「派遣であるというだけで、昇進ができない。転職しても派遣。キャリアも積めない。」

 

😢「何かあるとすぐに派遣切りされる」

 

😢「派遣であるというだけで、奴隷のような扱いを受けている」

 

といった状況があります。

  

 

 

なぜなら、派遣さんの給与はあくまでも派遣契約に基づいて決まり、派遣料金以上の金額は派遣さんには払えないからです。

 

 もちろん、派遣料金は市場価格によってある程度決まってしまいます。頑張ってスキルを上げたところで、派遣元は一人一人のスキルを派遣先に説明し、売り込むだけの余裕はありません。

  

そこで、政府は同一労働同一賃金という「スローガン」を掲げ、20世紀後半から続く、誰も手を付けられなかった派遣の問題にメスを入れたのです。

  

※あくまでも「スローガン」であり、法律用語ではありません。厳密に言えば「同一労働」であっても、評価や勤続年数によって給与が異なる会社が99%でしょうし、評価や勤続年数が異なる人の給与を「同じにしなさい!」とまで謳っているものではありません。

 

 派遣同一労働同一賃金には、大きく分けて2つの方法があります。

 

簡っっっっっ単にいうと、

 

<パターンA>

政府「全国で職業別の正社員の給与の統計を作ったから、派遣さんの給与は、この統計値以上にしてね~」

 

<パターンB>

政府「派遣先の会社は、派遣さんと同じ現場の正社員の給与を、派遣元会社さんに教えてあげてね。派遣元の会社さんは、派遣さんにその金額以上の給与を払ってあげてね~」

 

 

という法律を作ってしまったのです。。。

 

 

労使協定方式(パターンA)

※ろうしきょうていほうしき

(前年度の職種別の賃金統計(全国統計、正社員ベース)に、派遣社員の給与を寄せる方式)

 

 

派遣先均等均衡方式(パターンB)

 ※はけんさき  きんとう  きんこう  ほうしき

(派遣先の正社員の給与体系に、派遣社員の給与を寄せる方式)

 

 

それぞれのメリット・デメリット派遣先で作業する内容(業種)によって大きく左右されます。

 

(誤解を恐れずに申し上げますと、おおまかに倉庫業ピッキング、検品、出荷などのロジスティクスへ派遣している会社だけは、②派遣先均等均衡方式を使った方が、人件費が派遣料金が比較的安くなる傾向にあり、それ以外の9割の会社は①労使協定方式を使うことになるだろうと予想されています。)

 

 

しかし、基本的には派遣元ごとにいずれか1つのパターンしか選択出来ません。

(例外については後述します)

なぜなら、どちらか1つの方式に絞らなければ、そこで働く派遣さんにとっては、いわゆる「ダブルスタンダード」となり、同一労働同一賃金の趣旨に反するからです。

 

 

※抜け道として

 

 

「派遣元の事業所によって①労使協定方式と、②派遣先均等均衡方式を分けてしまう」

という方法があります。これは2020年2月の段階では「違法とまでは言い切れない」方法ですが、将来的には何等かの規制がかかると思われます。なぜなら、これもダブルスタンダードに繋がるからです。

 よって、これはあまりお勧めできる方法では御座いません。

 また、2事業所以上の派遣許可を持っている、いわゆる大手・中規模以上の派遣会社様以外は、現状は不可能になっています。

 

 

 

また、厚生労働省が作成した「労使協定方式に関するQ&A【第2集】 令和元年 11 月1日公表」読むと、

 

紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者との間で、待遇決定方式を分けることは、合理的な理由があれば、労働者派遣法上直ちに否定されるものではない。

待遇決定方式を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合などは、この限りでない。

 という回答がされています。

 

 

 

これらの内容については、第3回のQ&Aで縛りが厳しくなる可能性もありますし、逆に緩和される可能性もあります。今後の動向を注視する必要があります。

 

 

 

 

それでは、次のページで労使協定方式について詳しく解説させて頂きます。

<労使協定方式>

<均等均衡方式>