同一労働同一賃金とは?<派遣業は2020年4月から>
2020年4月から「同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん)」が日本の中でも派遣会社&派遣先の会社から先にスタートされ、ルールの徹底が求められるようになります!!
(上級者向け)
※令和2年1月 14 日公表版
※よく分からない人は下記をお読みください。
こんな噂を聞いて驚いた社長様、部長様、労務担当者様、人材会社の営業担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
まさに、寝耳に水のような働き方改革です。
一方で、
「聞いたことがあるけれど、なにが変わるのかイマイチわからない」
「具体的になにをすればいいの?」
という、ご担当者の方もいらっしゃいます。
このブログは様々な観点から「同一労働同一賃金」について解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
まず、派遣業の同一労働同一賃金とは何でしょうか?
😢「派遣では派遣先の正社員と同じような仕事をしているにも関わらず、待遇は派遣であるというだけで、とても低い!」
😢「派遣であるというだけで、休憩室が使わせてもらえない」
😢「派遣であるというだけで、昇進ができない。転職しても派遣。キャリアも積めない。」
😢「何かあるとすぐに派遣切りされる」
😢「派遣であるというだけで、奴隷のような扱いを受けている」
といった状況があります。
なぜなら、派遣さんの給与はあくまでも派遣契約に基づいて決まり、派遣料金以上の金額は派遣さんには払えないからです。
もちろん、派遣料金は市場価格によってある程度決まってしまいます。頑張ってスキルを上げたところで、派遣元は一人一人のスキルを派遣先に説明し、売り込むだけの余裕はありません。
そこで、政府は同一労働同一賃金という「スローガン」を掲げ、20世紀後半から続く、誰も手を付けられなかった派遣の問題にメスを入れたのです。
※あくまでも「スローガン」であり、法律用語ではありません。厳密に言えば「同一労働」であっても、評価や勤続年数によって給与が異なる会社が99%でしょうし、評価や勤続年数が異なる人の給与を「同じにしなさい!」とまで謳っているものではありません。
派遣の同一労働同一賃金には、大きく分けて2つの方法があります。
簡っっっっっ単にいうと、
<パターンA>
政府「全国で職業別の正社員の給与の統計を作ったから、派遣さんの給与は、この統計値以上にしてね~」
<パターンB>
政府「派遣先の会社は、派遣さんと同じ現場の正社員の給与を、派遣元会社さんに教えてあげてね。派遣元の会社さんは、派遣さんにその金額以上の給与を払ってあげてね~」
という法律を作ってしまったのです。。。
※ろうしきょうていほうしき
(前年度の職種別の賃金統計(全国統計、正社員ベース)に、派遣社員の給与を寄せる方式)
②派遣先均等均衡方式(パターンB)
※はけんさき きんとう きんこう ほうしき
(派遣先の正社員の給与体系に、派遣社員の給与を寄せる方式)
それぞれのメリット・デメリットは派遣先で作業する内容(業種)によって大きく左右されます。
(誤解を恐れずに申し上げますと、おおまかに倉庫業、ピッキング、検品、出荷などのロジスティクス系へ派遣している会社だけは、②派遣先均等均衡方式を使った方が、人件費が派遣料金が比較的安くなる傾向にあり、それ以外の9割の会社は①労使協定方式を使うことになるだろうと予想されています。)
しかし、基本的には派遣元ごとにいずれか1つのパターンしか選択出来ません。
(例外については後述します)
なぜなら、どちらか1つの方式に絞らなければ、そこで働く派遣さんにとっては、いわゆる「ダブルスタンダード」となり、同一労働同一賃金の趣旨に反するからです。
※抜け道として
「派遣元の事業所によって①労使協定方式と、②派遣先均等均衡方式を分けてしまう」
という方法があります。これは2020年2月の段階では「違法とまでは言い切れない」方法ですが、将来的には何等かの規制がかかると思われます。なぜなら、これもダブルスタンダードに繋がるからです。
よって、これはあまりお勧めできる方法では御座いません。
また、2事業所以上の派遣許可を持っている、いわゆる大手・中規模以上の派遣会社様以外は、現状は不可能になっています。
また、厚生労働省が作成した「労使協定方式に関するQ&A【第2集】 令和元年 11 月1日公表」を読むと、
・紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者との間で、待遇決定方式を分けることは、合理的な理由があれば、労働者派遣法上直ちに否定されるものではない。
・待遇決定方式を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合などは、この限りでない。
という回答がされています。
これらの内容については、第3回のQ&Aで縛りが厳しくなる可能性もありますし、逆に緩和される可能性もあります。今後の動向を注視する必要があります。
それでは、次のページで労使協定方式について詳しく解説させて頂きます。