労使協定方式とは何か?給与の設定<必要な3つのステップ>
2020年4月から「同一労働同一賃金」が派遣業を皮切りに施行され、ルールの徹底が求められるようになります。
では、労使協定方式とは何でしょうか?
※令和2年1月 14 日公表版
※リンク先の内容がよく分からない方は下記をお読みください。
<概要>
↓
②派遣さんの給与を、国が調査した正社員給与の統計値にに近づける
↓
③派遣会社は「どのような賃金ルールにするか」について、書面を派遣従業員の代表者と交わすことが義務化された。
誤解を恐れずに言うと、前年度の職種別の賃金統計(全国統計、正社員ベース)に、派遣社員の給与を近づける方式です。(後述します)
つまり、派遣さんの給与について、
「全国の正社員の統計結果がこうなんだから、派遣さんの給与設定は(賞与込みで)この統計値を上回るように設定してね。」
というものです。
具体的に解説させて頂きます。
①政府の統計を上回る給与設定をする。
https://www.mhlw.go.jp/content/000526707.pdf
(PDFが開きます。平成30年度にハローワークで受理した無期雇用かつフルタイムの求人に係る求人賃金(月給)から作成)
そのほかにも、賃金構造基本統計調査など派遣元の会社はいくつかの統計データを選び、そこから派遣さんの給与を設定することが出来るようになっていますが、選択肢の多さから言うと「ハローワークの統計調査」をもとに選ぶことになります。
②地域指数をかける(今回はハローワークの統計調査をもとに解説させて頂きます)
https://www.mhlw.go.jp/content/000526708.pdf
日本では地域によって給与の相場が異なります。
そこで、地域指数と呼ばれる係数をかけます。
たとえば北海道で働く「102 システム設計技術者」の場合、
1,534 円(別添2の 1 年目の額)×92.0%(北海道の地域指数)=1,412 円
ということになります。
③賃金表を作る
今度はプログラマーの場合です。
(A) (B)
(厚生労働省HPから抜粋)
A、Bと左から区分しましたが、作成する順序は
B⇒Aです。
(Aに賞与が含まれていますが、賞与については後述)
③-B
まず、Bを作ります。
ハローワークの統計調査(0年目、1年目、 2年目、 3年目、 5年目 、10年目 、20年目 )に地域指数を乗じます。上記の図では簡易的に0、3、10年目が挙げられています。
③-A
次にAを作ります。
業務内容に応じて、0年目で求める仕事は何か、3年目で求められる仕事は何か、10年目で求められる仕事は何かを洗い出し、実際の時給に当てはめていきます。
⇒業務内容の洗い出しについて
この時、必ず
「A≧B」が成り立つ必要があります。ここが同一労働同一賃金の肝です。
つまり、派遣さんの時給を統計平均よりも高く設定する必要があるということになります。
<どのように賃金規定を作ればいいか(労使協定方式)>
<賞与について(労使協定方式)>
<退職金について(労使協定方式)>
<通勤手当について(労使協定方式)>
<通勤手当以外の手当について(労使協定方式)>
<Q1>
では、この時給のラインは必ず上回る必要があるのでしょうか?
<A1>
いいえ、これはあくまでもAで作った業務レベルに到達していたら、その時給が貰えるということになります。会社が「3年目でこのレベルの仕事をしてほしい」という要望に対し、そのレベルに達していなければ、仮に3年目経っていても3年目の時給を支給する必要はありません。
<Q2>
業務レベルは会社が自由に設定できるの?
<A2>
最終的には36協定や就業規則の意見書と同じように、過半数労働者代表OR過半数労働者で組織された労働組合の代表の同意が必要です。(個別同意は不要です)
ただし、業務レベルの設定は、派遣料金と密接に関わってきます。派遣先と業務内容の再確認を行い、設定していく必要があります。
⇒業務内容の洗い出しについて
<Q3>
現在、下回っている社員がいると法律違反になるのでしょうか?
<A3>
いいえ、2020年1月現在は法律違反ではありません。
ただし、4月以降は同一労働同一賃金の内容にもとづいて評価し、給与の支給をしていく必要があります。
<Q4>
<A4>
最低賃金法は別の法律になりますので、最低賃金もそれはそれで守らなければなりません。また、ハローワークの統計調査は「分割賞与」が含まれていることに留意してください。 あくまでも賞与込みで統計を上回る必要があります。
疑問は尽きません。
では、次以降のページで詳しく解説させて頂きます。
⇒厚生労働省が作成した労使協定方式の雛型について